2008年2月9日(土)、大阪ハートンホールにて3社合同の個人投資家向けIR会社説明会を開催しました。
当日は早朝からあいにくの大雪となりましたが、事前参加申込120名中、約70名の投資家のみなさまにご来場いただくことができました。出席者の大半が当社株主の方であり、中には東京から(!)わざわざ足を運んでいただいた方もいらっしゃいました。
足元の悪い中、ご来場頂いた投資家のみなさまには心より御礼申し上げます。
説明会では約15分にわたる質疑応答の時間を設けさせていただきました。
今回のエントリーでは出席者の方々から頂いたすべての質問(計8つ)と、それに対する金子の回答を公開させていただきます。
個人投資家向けIR会社説明会(大阪)FAQ
Q.1
好調な業績に比例することなく、昨今のシンプレクスの株価は低迷を続けていると感じています。この状況を打破するために、今後さらにIR活動に注力する必要があるのではないでしょうか?
A.1
現状、機関投資家向けIRでは、通期・中間決算説明会のほか、年間数十件に渡るIR個別ミーティングを実施しています。
一方、個人投資家向けIRでは、インターネットでの情報開示や、地方開催も含めたIR会社説明会を年数回、定期的に実施しています。
ご指摘頂いた様に、今後はさらにIR施策を充実させていきたいと考えています。
Q.2
売上高の増加要因として、新規案件と継続案件(リピート案件)とで売上を比較した場合、どのような特徴があるのでしょうか?
A.2
まず、継続案件には2種類のパターンがあります。
既に稼動しているシステムに新しい機能を追加するパターンと、付加価値の高いシステムを納入した実績が評価され、担当部門の紹介により同じ金融機関内の他部門のシステム開発案件を受注するパターンです。
当社の売上高のうち、こうした継続案件は全体の売上の約70%を占め、残りの約30%が当該年度の新規案件となっています。
Q.3
大手金融機関を主要顧客として、既にそのうちの大半の金融機関にシステムを納入しているシンプレクスですが、今後の事業の方向性についてはどのように考えているのでしょうか?異業種への事業進出は視野に入れているのでしょうか?
A.3
当社は、ディーリング業務に代表される金融機関の収益業務(フロント業務)をIT技術によって支援する領域を「金融フロンティア領域」と呼び、1997年の会社設立以来、この領域に特化した事業を展開しています。
2007年3月期を最終年度とする「第一次中期事業計画」では、「金融フロンティア領域」におけるシステム・インテグレーション(SI)事業でトップシェアを獲得しました。
(2007年3月期実績 売上高:67億円、経常利益:16億円)
そして、2008年3月期に始まる5年間の「第二次中期事業計画」では、「金融フロンティア領域」におけるSI事業のさらなる事業基盤の拡大と、新規事業であるユニバーサル・マーケット・サービス(UMS)事業の立上げ・拡充を目指しています。
(2012年3月期見通し 売上高:150~200億円、経常利益:50~60億円)
この「第二次中期事業計画」において当社は、国内の「金融フロンティア領域」に特化したSI事業とUMS事業を展開し、業績を拡大していく見通しです。
また、異業種への将来的な事業進出の可能性は否定しませんが、当面は現行事業領域において十分な成長を持続していくことが可能と考えています。
ご参照:
当社は「金融フロンティア領域」におけるSI事業の市場規模を約500億円と推定しております。ただし、インターネット取引システムの台頭や、デリバティブ(金融派生商品)などの新商品の開発を受けて、当該領域は近年急速な勢いで広がりをみせています。
Q.4
シンプレクスが開発した金融システムをサービスとして提供し、顧客にサービス利用料を月額チャージするUMS事業の「ストック型収益モデル」に魅力を感じます。
しかしその一方で、UMS事業で収益を上げる前提として、提供するサービスが継続して付加価値の高いシステムであることが求められるといえます。
こうしたUMS事業の課題に対してどのように対処していくのでしょうか?
A.4
ご指摘の通り、UMS事業は質の高いサービスを利用者に向けて継続的に提供していくことが求められます。
継続的に質の高いサービスを提供していくためには、市場に対する先見性が今まで以上に重要であると認識しています。当社は、今後さらにマーケティング活動に注力していくと共に、利用者の要望に応えるべく、UMS事業に対する先行投資を積極的に実施していく方針です。
Q.5
2012年を最終年度とする5年間の「第二次中期事業計画」において、UMS事業に対して約50億円の先行投資を行うとのことですが、この内訳について教えてください。
A.5
約50億円のUMS事業への先行投資の内訳としては、5割がエンジニア人件費、残り5割がハードウェアやネットワークなどのインフラ費用となる見通しです。
当社は現在、「金融フロンティア領域」のさまざまな分野でUMS事業の新サービスの立上げを検討しております。ただし、そのほとんどが計画段階のため、現時点で詳細な内訳について公表できない点をご了承ください。
なお「第二次中期事業計画」の利益計画は、UMS事業への先行投資はすべて各会計年度で費用化することを前提とした上で算出しています。このため、UMS事業への先行投資が今後の利益計画に与える影響はありませんので、投資家のみなさまにはその点をご理解いただきたいと思います。
Q.6
リアルタイム・トレーディング・ツール「SPRINT」の販売戦略に関する質問です。今後は、プロ(機関投資家)向けサービスの展開も想定されているのでしょうか?
A.6
UMS事業の代表的なサービスである「SPRINT」は現在BtoC(リテール)を中心として、主に個人投資家向けサービスとして提供されています。
その一方で、ご指摘頂いたような機関投資家や金融機関の営業店向けサービス、いわゆるBtoB(ホールセール)向けサービスの提供も今後当社が注力していきたい販路の1つです。
また、従来SI事業(受託開発型事業)として手掛けてきたBtoB向けのシステム開発分野にも、UMS事業(サービス提供型事業)として展開できる分野が存在します。
“労働集約性の低いストック型収益構造の確立”を目指して、SI事業からUMS事業への切り替えが可能な分野については、積極的に転換を実施していく見通しです。
Q.7
“第二次中期事業計画の最終年度には、SI事業とUMS事業の両事業の粗利益を30億円台まで引き上げる”という成長戦略に関する質問です。SI事業については、利益率を今以上に向上させることで、粗利益30億円を達成していく見通しなのでしょうか?
A.7
このご質問に対してはまず、2007年3月期に終了した「第一次中期事業計画」の総括を踏まえてSI事業の特徴と課題についてご説明させていただきます。
当社は2007年3月期を最終年度とする「第一次中期事業計画」においてSI事業に特化し、「シンプレクス・ライブラリ」に代表される“ノウハウ集約型ビジネスモデル”により、情報サービス業種の中でも群を抜く高い利益率を実現してきました。
具体的には、大手システム・インテグレータの売上高営業利益率が概ね7~8%なのに対し、当社は売上高営業利益率23%以上を達成してきました。
しかし一方で、“今以上にSI事業の利益率を向上させることには限界がある”という課題も明らかになりました。
というのも、SI事業は顧客ごとにオーダーメイドでシステムを開発するため、エンジニアという人的資源に依存せざるを得ない事業形態です。
当社は“ノウハウ集約型ビジネスモデル”により圧倒的に高い利益率を達成してきましたが、本来的に労働集約型を特徴とするSI事業において、「シンプレクス・ライブラリ」による効率化にも限界が近づいてきたのです。
こうした状況を踏まえ、SI事業については「金融フロンティア領域」におけるNo.1システム・インテグレータとしての強みを活かした営業活動を強化していくことで売上拡大を図り、同時に売上高営業利益率を現状維持していくことで、2012年3月期のSI事業の粗利益を30億円台に引き上げる見通しです。
一方、SI事業の課題を踏まえ、さらなる成長を支える新事業こそがUMS事業です。
営業利益率60%という高利益率を実現するUMS事業については、2012年3月期までに売上高を50~60億円にまで拡大させることで、粗利益を30億円台まで引き上げていく見通しです。
当社は、SI事業の特徴である“最先端の金融業務をサポートしていくことによるノウハウと技術の蓄積”とUMS事業の特徴である“収益の安定性と高利益率”という両方の特徴を活かしていくことで、持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。
ご参照:
当社の高い収益性の源泉である「シンプレクス・ライブラリ」とは、受託開発で手掛けたシステムの「著作権」を当社が保有し、様々な開発案件で共通利用できるシステム機能を部品化(コンポーネント化)し、集約した部品群(ライブラリ)のことを指します。「シンプレクス・ライブラリ」を活用することで、システム開発にかかる期間とコストの大幅な削減が可能となります。
Q.8
「SPRINT」に代表されるUMS事業は、シンプレクスが保有する単一システムを複数の顧客にサービス提供する事業形態であると認識しています。
その際、複数の顧客に基本仕様として提供する「共有機能」の付加価値が高いことはもちろんのこと、顧客ごとの独自仕様となる「固有機能」へのカスタマイズ要求にも応えていくことが同時に求められるといえます。こうした課題をどのように捉えているのでしょうか?
A.8
ご指摘いただいた通り、UMS事業を展開するにあたって「共有機能」と「固有機能」のそれぞれの要望にどう応えていくかは、非常に重要なポイントであると認識しています。
複数の顧客に基本仕様として提供する「共有機能」と、顧客別のカスタマイズ対応となる「固有機能」との見極めについては、「シンプレクス・ライブラリ」を中心として事業を拡大してきたSI事業で培った経験とノウハウが活かせると考えています。
どの部分を「共有機能」とすることでサービス導入の効率化を図るのか、また、どの部分を「固有機能」することで顧客ごとにサービスの差別化を図っていくのか。当社はそのさじ加減を見極め、顧客の要望に機動的に対応していく方針です。
その的確な見極めこそが、UMS事業の高い利益率を実現する鍵になると考えています。
質疑応答の内容は以上になります。
ご出席いただいた投資家のみなさま、ありがとうございました。

追伸:
金子のプレゼンテーションの動画は、来週中に公開予定です。
また、当日実施したアンケート結果に関しても、別途当ブログを通してみなさまにご報告させていただきます!